極上の他人


それに、砂川輝さんという男性、私よりも8歳年上の30歳。

それなりに大きいこの年齢差は、このお見合いに二の足を踏ませる不安要素の一つだ。

年齢的にももう少し近い方が私には向いているような気がする。

大学を卒業する直前に別れた彼氏をはじめ、同い年か年下としか付き合ったことがない私には、未知の世界だと言ってもいい年齢差だ。

私より10歳年上の叔父、誠吾兄ちゃんとほとんど同じ年齢だということも、かなり気になる。

お見合い相手の輝さんとのこれからに消極的になってしまう理由をいくつも頭に浮かべながら、私は小さく呟いた。

「亜実さんには申し訳ないんですけど、やっぱりこのお話はお断りします。
物流部の洋子さんなら、お酒が大好きだし、バーの店長との結婚、いいんじゃないですか?」

「うーん。彼女には、以前他の男性とのお見合いをセッティングしてうまく進んだの。確か来週あたり結納なのよね」

「は?」

「やっぱり、お見合いってうまく進み始めると、結婚までとんとん拍子なのよ。
時間を無駄にしないですむお見合いっていいわよね。
結婚を前提に出会ってその後恋愛して、そしてお互いを知っていくって、すっきりしていて楽かもね。
私は社内恋愛で結婚したけど、そういう恋愛の入り方も悪くないわね」

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