極上の他人
「千早、いいやつだろ?面接にきた時に『稼ぎのいいバイトを探しているんです』とあっけらかんと言うあいつにやられて、即採用したんだ」
「稼ぎ……。ストレートですね」
ふふっと笑った私を見ていた輝さんは、そんな私の頭をぽんと叩いて小さく息を吐くと。
「俺よりも、千早と見合いすればよかったな」
「え?」
「いや、千早とは気が合ってるし、年も近いから結婚だって現実的に考えられるだろ?」
淡々と話すその声は、どう考えても私に千早くんをすすめているようで、苦しい。
好きな人から他の男性をすすめられるなんて、泣きそうになる。
きっと輝さんには、私に対しての恋愛感情のかけらもなくて、単なる店長とお客との関係、それだけの思いしかないんだろうけれど。
わかってるけど、めげそうだ。
「亜実さんは、どうして俺をふみちゃんの相手に選んだんだろうな。
ふみちゃんみたいに素直でかわいい女の子なら、もっといい男を紹介できたはずなのに」