まんなかロックオン
いずれにしろ、それだけの関係だったコウからの告白というのは、私、新田麻佑にとってあまりに予想外のものだったのだ。
「コウって、バスケしてると人変わるよねー」
ダン、ダンとボールの跳ねる音が、体育館内に響いている。
女子の休憩時間に、男子の使うコートを見ていたメンバーがそう呟いて、思わず肩が跳ねた。
タオルで汗を拭きながら、なんとなくドリブルする。女子が話しているのは、どうやら件の矢澤洸についてらしかった。
「いっつも、のほほんとしてんのにね。バスケしてるときは、すごい真剣っていうか」
その隣の女子が、「わかるー」と言う。ついでに私も、心のなかでわかるー、と呟いた。
ちらりとそちらに視線を移して見えるのは、キュッキュッとバッシュとフロアを擦らせて、ゴール下からシュートを打つコウの姿。…ナイスシュート。
その瞳は強くゴールを見据えていて、普段のあいつの面影はない。