まんなかロックオン


「ちょっ、コウ…!?」

「あー、もう。可愛いなぁ」

そろそろ胸の動悸が強すぎて、痛いのだが。別の意味で、病院送りになってしまう。


ようやく身体が離され、安堵の息をつく。つかの間、ふふふと笑ったコウが、衝撃の事実を告げた。

「ごめんね。吉野さんのあれ、わざと。麻佑がなかなか返事くれないから」

意地悪しちゃった、と笑う。わ、わざと?こいつ、わざと私に吉野さんのことを言ったというのか。

「なっ…なにそれ!?最低!」

「ごめんって〜、好きな子には意地悪したくなるものでしょ?」

でしょ?じゃねえ!

「…っもう、なんなのっ…」

涙目で睨むと、にっこりとした笑みが返ってくる。そして、そのまま私の耳もとで囁いた。


「…そろそろ、返事ちょうだい?」


…こいつ実は、Sなんじゃないのか。私がこれに弱いこと、わかってるんじゃないのか。



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