まんなかロックオン
「…あ、部活、行かなきゃ」
そこで思い出し、思わず呟く。我ながら、ムード台無しである。
コウは「あ」と気付いたように言って、「ほんとだ」と笑った。
「キャプテンに怒られるね」
そう言うと、コウは私の手をつかんだ。そのまま、手を繋ぐ。あー、確かにこれは、照れるわ。
「…ふたりで怒られよ」
階段を降りはじめ、ふたりで目指すのは体育館。コウと私の大切な場所だ。
「そーだね」
これからは、バスケ友達から一歩進んだ関係へ。
ゴールを見据えて、狙いを定めて、君はその手からボールを放つ。
今日もきっと、瞳のなかで君が輝いているように。
Fin