まんなかロックオン


コウの姿を目に映しては、お前まるで老後のじじいみたいだぞとか、そんなことを思う。

そしてドリブルしているところを見て、ああこれがギャップ萌えってやつかと馬鹿なことを思ったりする。


キャプテンの集合の合図がかかり、私は一度ふぅ、と溜息をついた。

…返事、考えられない。

私はもやもやした気持ちを抱えて、練習を再開した。






「熱心だね」


練習が終わり、女バスのメンバーがみんな帰ったあと、私はひとり体育館内にいた。

「………えっ」

シュート練習をしているところで声をかけられ、その相手の姿に思わずボールを落とす。

トン、トン…とボールがフロアに転がった。


「…どした?ボール落ちたよ」


不思議そうにこちらを見るそいつ…もといコウは、転がったボールを指差す。

私は慌てて、「べっ、別に」と噛みそうになりながらボールを拾った。

今日はじめて話すものだから、上手く舌がまわらない。



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