まんなかロックオン
コウの姿を目に映しては、お前まるで老後のじじいみたいだぞとか、そんなことを思う。
そしてドリブルしているところを見て、ああこれがギャップ萌えってやつかと馬鹿なことを思ったりする。
キャプテンの集合の合図がかかり、私は一度ふぅ、と溜息をついた。
…返事、考えられない。
私はもやもやした気持ちを抱えて、練習を再開した。
*
「熱心だね」
練習が終わり、女バスのメンバーがみんな帰ったあと、私はひとり体育館内にいた。
「………えっ」
シュート練習をしているところで声をかけられ、その相手の姿に思わずボールを落とす。
トン、トン…とボールがフロアに転がった。
「…どした?ボール落ちたよ」
不思議そうにこちらを見るそいつ…もといコウは、転がったボールを指差す。
私は慌てて、「べっ、別に」と噛みそうになりながらボールを拾った。
今日はじめて話すものだから、上手く舌がまわらない。