夜闇歌
ヒョイッと赤い球体が宙を舞う。

それを受け止めるために
手に乗せられた布の上に着地する。

シャクッと音を立てて球体が削れる。

光る果汁をなめて彼女はちらりと視線をあげる。

切れ長の瞳が僕と重なった。

それに気付かず、彼女は再び赤い果実をかじる。

すれ違いざま、ふわりと香る蜜のにおい。

みつりんご

一目惚れの君へ。



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