秘密の言葉
秋の日

秋は嫌い

___ピピピッ

「花〜、朝よ〜」

9月になった。
秋本番が近づき、朝の冷え込みが異常。
布団が恋しくなっていく。
制服も、もう冬用に変えなきゃ。
そして朝ごはんの味噌汁が、いつもより美味しく感じられる。

「いってきます」

ゆっくりとあけて広がるのは、坂の下に広がる色のない木々達。
秋は、あまり好まない。
紅葉は素晴らしく綺麗だけど、葉のない木々は寂しくて嫌い。
それに代わって、初や夏は花や木が生い茂ってるから好きだ。
秋の寒さは、人が離れて行くようで。
冷たい空気が、鼻の奥を刺激する度に、瞼をぎゅっと瞑ってしまう。
だが、その一瞬に風が吹いたら、葉っぱと一緒に、大切な人を何処か遠くへ突き放してしまう気がするんだ。

「それは、大袈裟かな。」

あくまで、心の例えだから。
それにしても…寒い。
カーディガン着てるのに、中に寒気が入ってくる感じ。
明日からカイロでも持ってこようかと思っちゃうわ。
寒いのも嫌いだ…。
暑すぎるもの勘弁だけど、寒いと小鳥が急激に減る。

「今日は何か、愚痴ばっかり言って学校ついちゃったな…」

学校の中くらいは、あったかい事を願おう。
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