秘密の言葉
少しの間、心臓だけが高鳴って、時間は止まったようだった。
ハッとした時、水木君の姿はもう見えなくなっていた。
それに代わって、恵美との距離がぐんと近くなっていた。

「もう水樹、恋バナパスとか言って男の子と帰るなんてずるいっ!」

「…え?どういうこと?」

「しらばっくれないのっ!今男の子いたじゃない?それにあの子私が言ってた男の子だし…」

水木君が…?
だから、水木君は空の名前を出したのかな?
何か、嫌だな。

「え?そうなんだ!何か道聞かれてさ。全然話してないけど、編入生とかじゃない?」

凄く下手な嘘。
どこからどう見ても嘘って言ってるようなもの。

「そっか…。まあ知らない人だし!引き止めてごめんねっ」

「大丈夫!それより、今日は何でここから帰ってるの?」

「うーん、まあ寄り道?」

私って観察力があるのかな?
それとも…人の行動見過ぎなのかな?
だって、恵美の心が手に取るようにわかっちゃうんだもの。

「私、恋とかしないから安心して」

きっと恵美は、『水城恋バナの時何と無く様子が違かったぽいから、恋人がいるのかも!』と思ったようで、そう言って見た。
すると、目をギョッとさせた。
やっぱり図星なのかもしれない。
女の子って、色々怖いな…やっぱり。
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