秘密の言葉
「ただいま」

まあ、返事は無いけどね。
お母さんは仕事してるし、兄妹がいるわけでも無いから。
でも、もう慣れた。
というか、寂しさは無い。
小さい頃は外で遊んでたから気にしなかったし、今はむしろ感謝してる。
きっと凄く大変だと思う。
いつも笑うから、こっちが心配になるくらい。
でもその笑顔が、私達と繋いでるのかも。
そういえば、お母さんってあの男の子の事知ってるのかな?
帰ったら聞いてみようかな。

___「ただいまー!」

「お帰り、今日はやいね?」

「そうね、なんでだろ」

「あのさ、昔の事なんだけど…」

「あら、花は今に生きる女かと思ってたわ」

あ、あの。
お母さんってこんなキャラだったっけ。
まあ、いいや。

「私と遊んでた子覚えてない?」

「遊んでた子か、全然覚えてないっ」

そっか、やっぱりそうだよね。

「花、そういえばお帰り」

えっ…今"お帰り"って言ったよね?

「遅い時以外、全然言って上げられて無かったからね。お帰りはお母さんの特権だからね」

ああ、もうお母さんったら…大好きだよ。
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