秘密の言葉
「とりあえず、外でよ」

玄関の扉を開けると、まだ制服を着た恵美が立っていた。
恵美は私の姿に気づくと、ハッとして近づいてきた。
身を構えていると、腕を掴んで歩き始めた。
慌ただしく、怒っているようにも見える。

「恵美、どうしたの？」

手を離したかと思うと、クルッと振り返った。

「もう、あの男の子と仲良くしちゃダメ。会っても無視して」

え？いきなりそんな…。

「待って、言ってる事が分からないよ」

「とにかく、もう関わっちゃダメなの」

「意味がわからないよ。ちゃんと説明して」

そんなの、不可解だよ。
どういう事があって、私にそんな事を言うのかわからない。
もしかして、本当に…付き合うのかな。

「あの子と一緒にいたら、水樹がダメになる！そのままでいたいなら、もう関わっちゃダメなの！」

なにかを言いたそうに、口をもごもごさせている。
でも私は、怒っている。
初めて恵美に、嫌気がさした。

「私、凄く怒ってるから。いきなり急用だからって言ってきて、どうしたんだろうって来たら、『人と仲良くするな』って命令されて。理解できない」

「じゃあ、ちゃんと分かるように説明するから…！」

「恵美の行動に腹が立つの！何？はやく理由を言ってよ！私が友達恵美くらいなの知ってるでしょ？どうして友好関係まで制限するの！？」

水木君の事、恵美より分かっているはずなのに…。
不安がだけが、どんどん大きくなって行く。
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