秘密の言葉
息が荒くなってくる。
水木君が幽霊なんて、理解出来ないし。
それに、その発想がどこから来るのか不思議でならない。

「もし本当に幽霊で、連れてかれちゃったらどうするの?本当にあるんだから!」

「もう嫌!…水木君はいる!いつも私に優しくしてくれて…私、大好きだもん!」

言ってから、気づく過ち。
水木君の名前を、出してしまった…。

「やっぱり…そうだったんだ。仮にその"水木君"が幽霊じゃないとして、水樹は私に嘘付いたよね」

怒っているというより、悲しそうだった。
私は本当に、何をしてるんだろう。
水木君との約束も破って、友達嘘をついて…。

「恵美が理不尽なことばっかり言うから、悪いんじゃん」

そうじゃない、そう言いたいんじゃない。
本当は一言、"ごめんね"って言いたいのに…。
何で、言えないの?

「私は言ったから。この先何があっても私は知らない」

突き放されて、当然の結果だ。
肝心な時に素直になれなくて、肝心な時に後悔の連続が続く。
きっと、水木君の事を調べ尽くして、幽霊だったら成仏とか…するんだろうな。

「そうだ、たとえ彼が幽霊でも、成仏はしない。水樹がその道を選んだんだから、どんな悪霊でも私の知った事じゃない」

今、頭には"もし幽霊だったら"って事しかない。
水木君は生きてる。
私が絶対、証明する。
水木君は生きていて、素敵な人だって。
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