秘密の言葉

冬には

まだ、嫌いな秋は終わってくれそうにない。
ちょっと前まで木についていた紅葉も、今は道に積まれている。
教室で1人は寂しく無い。
でも、恵美や…水木君と話せないのは凄く悲しい。

「水木君…」

机に突っ伏するか、水木君の机を眺めることくらいしかすることがない。

「ごめんねって言いたい…」

私っていつから、こんな奴だったっけ。
昔はもっと、素直だったきがする。
恵美、話しかけたら聞いてくれるかな…。
水木君、もう一緒に帰ってくれないかな?

「泣いてる暇は無い。まずは行動を起こそうっ」

まずは、とにかく言おう。
素直になれば、きっと和解できる。

「…恵美!」

恵美を取り巻く人達の視線が、一斉に突き刺さる。

「水樹…廊下で話そう」

言わなきゃ…"ごめんね"って。

「恵美、ごっ…ごめん!」

ぎゅっと目を詰むって、頭を下げた。
もし許してもらえなくても、私は言えた事に満足だった。

「何、頭あげて?私は別に怒ってはいなかったよ?」

ゆっくり頭をあげて、話に耳を傾けた。

「私は、正直悔しかった。水樹に嘘付かれるほど信用されてないんだなって…まだまだだなって」

そんな風に、思ってくれてたんだ。
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