秘密の言葉
「…今年も残り少ないけど、よろしくね!」

「当たり前だよ!私的には来年も恵美と仲良くしたい」

恵美は、私みたいに可愛くないことも仲良くしてくれる。
まあそれを本人に言うと"付き合うのに見た目とか関係あるの?初めてしった!"って少々怒り気味に見えたからもう言ってないけど。

「水樹、私の小話してもいい?」

「うん、全然いいよ」

「私さ、妹いたの。1つ下の」

いた…過去形か。
私は、生唾を飲み込んだ。

「私が5歳の時に、一緒に外で遊んでたんだけど、私がトイレしたくなっちゃって一旦家に戻ったの」

恵美は深呼吸をして、下唇をキュッと噛んだ。
私は『無理はしなくていいよ』って言ったけど、『水城に言っておきたいの』って言ってくれた。

「それでね、私が戻ったら『お姉ちゃんにお花あげる!』って白いお花を1輪持って来たの。でも、道路の向こう側にいた妹は、私元へは来てくれなかった…」

恵美も私も、流れる涙を拭いはしなかった。

「引かれ、ちゃったの?」

「引かれるって結末はよくあるけど…。妹は、刺殺されたの。通り魔に」

私は、声を殺すように手で口を抑えた。
さっきまでただ泣いていた恵美は、今は眉毛を下げて、さっきより穏やか…といいていいのかわからないけど、表情が緩んだ。

「最後まで、笑ってた。本当は通り魔を追っかけなきゃ行けなかったのかもしれない。でも、最期まで妹のそばにいてあげたかった。きっと5歳の私は、病院で運ぶっていう選択肢は無かった…。だって……左胸が…真っ赤だったんだもん。」

辛くてしょうがない。
そう言ってる様にも見える顔は、幸せそうにも見えた。
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