秘密の言葉
「花すごいね、さすがっ」

「今日は、いっぱい話そうと思ったから、準備してきちゃった」

ちょっとはりきり過ぎたかな、と思いながら膝掛けを渡す。
田舎だから、出来ることかも。
第一都会はどこにでもベンチがあるだろうから。
田舎は、そう多くベンチはない。
それに、こうやって雪の上に座るのも悪くは無い。

「じゃあ、まずは花から…とびきりの話をして?」

「とびきりの話か。じゃあ昔の話でもいいかな…?」

前にも少し話した気がするけど…。
でも、ちゃんと話したことは無かった気がする。
水木君は、笑わないでくれるから…全部話そう。
そして、この気持ちも。

「私、迷ってるの。好きな人が出来たんだけど、約束の男の子を忘れられなくて…」

たとえ水木君との恋が実って、その場に約束の男の子がやって来たら、どうすればいいかわからない。
水木君に振られて、約束の男の子が現れるかどうかも分からない。
そして何より、けじめをつけたい。

「このお花のネックレス、昔その男の子にもらったの。その子の事忘れられなくて、ずっと持ってる…」

「花は、いい子だね。約束を守って、今でも想ってる。素敵じゃん」

でも、私は水木君が…。

「っとりあえず、次は水木君の話を聞かせて?」

「わかった、話すね?」
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