秘密の言葉
どんな事を話してくれるんだろう。
楽しい話かな、悲しい話かな…。

「僕は小さい頃、お姫様に会った。笑顔がすごく素敵で、僕は一目惚れしたんだ。お姫様はいつも僕と遊んでくれたんだけど…僕は途中でお姫様のそばを離れちゃったんだ。約束だけをして、それっきり」

すごく、私たちは似てる。
小さかった頃の境遇が。
でも、残念ながらお互いの"お姫様"と"約束の男の子"では無い。

「…私じゃ、ダメかな?」

今まで告白なんて、した事ないから。
上手く言えないけど…伝わったかな?
水木君、すごく驚いてる。

「花、ありがとう。すっごく嬉しい」

よかった…!
水木君、本当にありがとう!

「……でも、ごめんね」

…えっ。
そっか…やっぱりダメだよね。
やっぱり…ダメ…だよね。19

「はい、これ。話聞いてくれてありがとう!…ばいばい」

プレゼントを渡して、その場を立ち去ろうとした。
もうバカみたいで…恥ずかしい。
期待したい自分が、腹立たしい。

「花待って、僕は花が嫌いな訳じゃないんだ…」

「いいの!別に振られて逆ギレしてるわけじゃないから…。手、離して」

私は、走って帰った。
走って走って、お母さんに『ただいま』も言わずに部屋に篭った。

「うっ…っ、バカみたいっ…」

水木君は、私とは違う。
私は迷っている中で、けじめをつけたくて告白した。
でも水木君は、最初から"お姫様"を想ってる。
私は、1人で盛り上がって1人で破滅しただけなんだ。
最悪のイブ。
明日は、お母さんと楽しいクリスマスにしよう。
今日の事を、忘れられるくらい…。
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