秘密の言葉
_______帰り道。
恵美は何かを言いたそうに、『あのさ…』ばっかり言ってる。
どうしたのか聞いても、その先は言わない。

「それってさ………水木君?」

「え、朝の子?ううん、そうだったらどんなによかったか…とは思ってるけど」

「そっか、そんな事無いよね」

沈黙が続く。
何か、難しい顔をしている。

「あの…さ、あの男の子の事なんだけど」

「…水木君?」

「うん。水木君は、私達と同じクラスだよ」

「…え?」

もう、隠し事はなしだ。
春の花が咲く前に、伝えなきゃいけない。

「水木君は私達と同じクラスで、私の隣の席なの。信じてくれないかもしれないけど」

「ちょっ…ちょっと待って!水木君っていつからいるの?」

こんなに驚くと思わなかった。
本当に居る事気づかなかったのかな?
いつも学校休んでるから…?

「2学期の始業式。恵美だけじゃないんだよ、転校生」

「って事は、私達の事知ってるの?」

「そりゃ…クラスにいない事の方が多いけど、クラスメイトだし知ってるんじゃないかな?」
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