秘密の言葉

春になる前に

雪が溶けてきた。
道路はもうほとんど地面が見える。
あの特別な場所も、雪はほんの少ししか残っていない。
でもまだ、冬の寒気が残ってる。
春の暖かい風が、待ち遠しい。
野花が顔を出すのが、待ち遠しい。
あの春の日が……愛おしい。

「おはよう、水樹」

「おはよう恵美」

ぎこちない距離感。
やっぱり、信じてはもらえなかったのかもしれない。

「水樹、一ついい?」

「うん、どうしたの?」

少し黙って、話し始めた。
何のためらいかは、分からないけど。

「怒らないで、聞いてくれる?」

「うん?」

どうして、そんなにもったいぶるのだろう。
それだけ、深刻ってことだよね…。

「水木太陽君って、言うのよね?その子は…私達の学校の生徒じゃない」

「え…」

どういう、事なの?
水木君は、いつもあそこにいたのに。
じゃあどうして?何のために?
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