空も飛べるはず【短】
なんでそんなきみが同じ図書委員になってしまったかというと、委員決めがきみが休んだ日に行われて、それをいいことに、みんなに押し付けられてしまったから。
きみと同じ委員なんてうらやましいと、あまり仲の良くない女子に言われたこともあるけれど……。
うらやましいかな?
とくに話すこともなくて、こうして二人でぼんやりしているだけなのに。
それとも、きみは他の女の子となら、楽しそうに話すのかな……。
なんて考えると悲しくなっちゃうから、あたしは返却カウンターにたまった本を棚に戻しに行く。
たった5冊。
すぐに終わっちゃう。
そう思ったのに、最後の1冊が問題だった。
チビのあたしがどんなに手をのばして、二の腕が悲鳴を上げても、届かないところにその本の帰る場所はあったん
だ。
もちろん脚立に乗るんだけど、それってこの学校じゃ、踏み台昇降運動に使うくらいの高さしかない。
思い切り背伸びをしてうんうんうなっていると、すっと手から分厚い本の重みがなくなった。
「あぶねーぞ」
低い声が耳元でして、びくりと背中が震えた。
あたしの背後からぬっと長い手をのばしたその人は、あたしの手から取った本を、難なく棚に収める。
「届かないなら、呼べばいいのに」
「あ……ありがとう」