彼女の名前

才能

えー最後に、新入生代表式辞。二階堂彩月。」

「はい。」

名前を呼ばれた彩月は、会場にほどよく響く、凛とした声で返事をした。

ステージに立ち、ゆっくりと会場を見回してから、うっすらと微笑を浮かべる。
「1年A組、二階堂彩月です。今日、この入学式を迎えられたことを嬉しく思います………」


会場の人々は、彩月の、簡潔に、しかしポイントを押さえて作られたスピーチに、引き込まれていく。

しかし、それを見た彩月は覚めた気持ちが、むくむくと浮かんだ。

当然だわ。計算に計算を重ねたんだもの。
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