蜂蜜
蜂蜜
僕の記憶の中に残るのは、冷たい雨と温かい温もりだけ―・・・。




段々冷える自分の身体に気付き、重い目を開けた。

ぼやける視界には、何も変わった物なんて映ってなかった。

狭い狭い部屋に屋根はなくて、目の前の壁の向こうが気になったから、僕は立ち上がる。

ヒョコッと顔を出し、耳と鼻で状況を掴もうとする。

ジメジメした嫌な香りだ。

耳の先から尻尾までに当たる、冷たい水滴。

狭い部屋は、前足で押したらパタンと倒れた。

部屋と一緒に僕までコロンと転がり、冷たく濡れた緑と茶色の柔らかい場所に倒れ込む。

ここは何処?

僕はなんで此処にいるの?

そう聞いても、僕以外に誰もいないから、答えはない。
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