蜂蜜
ちょっと癖のついた焦げ茶色の髪に、真ん丸の瞳。

その女の子は僕が目を覚ましたのに気付き、何故か一歩後ずさる。


「か、か、か、噛まないでね!?私、怪しい者じゃないからね!?」


・・・噛む?怪しい?

僕は女の子の言ってる意味が解らなくて、ゆっくりゆっくりその子に近付いてみた。

ジメジメした嫌な臭いの中に、甘いふわふわした香りが漂う。

これは、この子の香りなのかな?


「・・・お前、捨てられたの?雨に濡れて寒くない?」


ソッと僕の顔に触れた指先は、僕と同じくらい冷たい。


「・・・お前も一人ぼっちなんだね・・・。寂しいよね?・・・一人は・・・」


僕の身体をヒョイと持ち上がると、女の子はギューッと僕を抱きしめ、僕の身体を温めてくれた。
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