蜂蜜
「お前いい子だね・・・噛まないんだもん。・・・へへへ」


何度も何度も、僕の身体を女の子は冷たい手で撫でてくれた。

なんだか、あったかいな・・・。

やっぱりあの甘い香りは、この女の子だった。

ふわふわして、安心する香り。


「冷たいね・・・。でも、もう大丈夫だよ」


指で擽られて、僕は何だか嬉しくなった。

僕の尻尾が勝手にパタパタ動くと、それを見た女の子が嬉しそうにニコッと笑う。

ポタリポタリと女の子の髪から落ちる水の粒が、僕の鼻にあたる。


「おお!ごめんごめん!・・・傘、コンビニに買いに行かないとね・・・お前まで濡れちゃうもんね」


僕はもうビショビショに濡れているのに、女の子は僕が濡れないようにと胸に抱き寄せてくれた。
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