澪ちゃん恋をする
「うまく出来てよかったわね」
あたしが感動していると吉井先輩が声をかけてきてくれた。
「吉井先輩!これ、めっちゃおいしいです!!」
あたしはそう言ってもう1つクッキーを口に入れた。
吉井先輩はニコニコ笑って言った。
「このクッキーは美味しいって評判なのよ!家でも作ってみてね」
「は、はいっ!!」
こんなの自分で焼けるなんて、幸せ!!
今度家で焼いてみよう!
でも食べ過ぎて太らないようにしなきゃ!!
そう思っていると、外から声が聞こえた。
よく通る声で。
「今日はクッキーか?」
声のしたほうを見ると、サッカーのユニフォームを着た人がいた。
周りの料理部の子たちがキャーキャー言っている。
あの人は……あたしは思わず葉月の方を見た。
「……」
そこには頬を赤く染めている葉月がいた。
その人をじっと見つめている。
「葉月」
あたしはそっと葉月の隣に立ってこそっと言った。
「あたし、なんで料理苦手な葉月が料理部に入りたいなんて言ったのかわかっちゃっ
た」
そう言うと、葉月は恥ずかしそうにあたしを睨んだ。
あたしはそれを見て笑った。