澪ちゃん恋をする


「飴?」



可愛らしい袋の飴が1つ、手のひらに乗せられていた。



「俺、甘いもの食べてないとイライラしちゃうから普段から持ち歩いてるんだよね」



先輩カバンの中をあたしに見せてくれた。

すると、カバンに詰まっていたお菓子を見て、あたしは唖然とした。



「あ、ありがとうございます…」



先輩のカバンを見ただけでお腹がいっぱいになった気分だ。

すると先輩は携帯の時計を見ながら言った。



「あっごめん、今日送れないけど気をつけて帰るんだよ!」



そう言って先輩は走って行ってしまった。

先輩にもらったオレンジ味の飴を握り締めて、あたしは先輩の走っていった方向を見つめていた。



それからというもの、高岡先輩は廊下で会えば声をかけてきてくれて、料理部にもちょくちょく現れては、部活で作ったお菓子などをもらいに来た。

高岡先輩と一緒に春斗先輩もよく来るようになって、葉月がお菓子をあげたりしていた。

葉月が春斗先輩にお菓子を渡す時は、毎回ガッチガチになって見てるこっちがひやひやしたけど、最近は少し慣れたみたいで、話したりもしている。

まぁ、相変わらず顔は真っ赤になって可愛いんだけど。

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