澪ちゃん恋をする


「…」



「佐伯」



いきなり名前を呼ばれた。

あたしは田端を見た。



「なんで抵抗しない?」



そんな質問をされた。

なんでって…。



「もう…諦めたから…」



だって、あたしやられちゃうんでしょ?

抵抗したって、逆に殴られたりするかもしれない。

だったら、このまま…。

すると、田端は口を開いた。



「俺は、諦めるヤツは…嫌いだ」



そう言って田端は、あたしから目線を外して、窓の外を見つめた。

外は今だに雨がザーザーと降っていた。

< 163 / 417 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop