澪ちゃん恋をする
病院に着くと親父が玄関で待っていた。
「さっ紗枝は!?」
走ってきたから苦しい。
でも、一刻も早く紗枝の顔を見たかった。
「まだ、大丈夫だ」
親父は少し曇った表情をしてそう言った。
え?まだ?
「まだってどういう意味だよ!?」
それから病室に着くまで、紗枝のことを聞いた。
紗枝は1年前の検査で、肺の一部がもう機能していないことがわかった。
手術という手もあったが、紗枝の体ではもう体力が持たないから出来ないと言うことだった。
その時点で、紗枝の余命はあと1年。
病室の前に着いた。
ガチャリとドアを開けると、母さんが紗枝の手を握っていた。
「紗枝…」
「良樹…」
俺に気づいた母さんが、俺の名前を呼んだ。
「紗枝、お兄ちゃん来たよ」
紗枝の耳元そう言うと俺と場所を代わった。