澪ちゃん恋をする
「待って…」
すると紗枝が小さく俺を呼び止めて言った。
「…じゃぁ、お兄ちゃんがお医者さんになって」
「え?」
俺…が?
紗枝の言葉に俺は驚いた。
「そうしたら、紗枝もお兄ちゃんを追いかけるから」
追いかけてくれる?
じゃあ生きることを諦めないのか?
「だからお医者さんになって…」
紗枝は俺の目をじっと見つめてもう一度言った。
医者…か…。
こんな俺でもなれるのかな?
いや、ならなきゃいけない。
俺は紗枝のところに戻って手を握って言った。
「あぁ、分かった。俺、医者になる」
そう言うと紗枝は今までで一番の笑顔で言った。
「じゃあ紗枝も頑張る!」