澪ちゃん恋をする
俺の夢 【田端side】
それから2日後、紗枝は静かに息を引き取った。
みんなの見ている前で…。
紗枝の葬儀が終わって1週間後、俺は両親と仁菜の病院に挨拶に来ていた。
「本当に、お世話になりました」
両親が院長に挨拶している間、俺は病院の中庭にいた。
中庭には大きな木が1本立っている。
俺はそれを見つめていた。
まだ、紗枝が死んだという実感が湧かない。
その時、後ろから俺を呼ぶ声が聞こえた。
「良樹君」
振り返ると、そこには仁菜がいた。
大きな箱いっぱいに入ったクッキーを持って。
「これ…紗枝ちゃんに」
「あぁ、サンキュ」
仁菜は俺にクッキーの入った箱を渡すと、中庭の木を見つめた。
仁菜も、紗枝を妹のように可愛がっていた。
だから、そうとう落ち込んでいた。