澪ちゃん恋をする
優しい人 【澪side】
「俺は、すぐに諦めるヤツが嫌いだ」
そう言って田端は窓の外を見つめた。
その横顔は、なんだか悲しそう。
誰かを見ている感じだ。
「…あ、あたしだって…諦めたくなんて、ない…」
そう言うと田端はあたしを見た。
「でも…しょうがないじゃない。女の人が男の人に力で勝てるわけないもの…」
玲次を見ててそう思った。
昔は喧嘩でも勝負でもあたしが勝ってた。
だけど、中学、高校となるにつれて、あたしが勝てるのは口だけ。
腕相撲も、駆けっこも、なんでも玲次の方が上。
男の子っていいなと思うこともあった。
「…まぁ、確かに、な」
ふっと口だけ笑って田端が言った。
「それに抵抗して、怪我でもしたらいやだもん」
そう言うと田端がバカにしたように言った。
「まぁ、可愛い顔だからな。モテなくなるわな」
その言葉に頭の中にハテナマークが浮かんだ。
「え?誰が可愛いのよ?」
そう聞くと田端は目を見開いた。