澪ちゃん恋をする
「…お前、今はその幼なじみの家族によくしてもらってるんだろう?」
あたしは声が出なかったから頷いた。大きく。
「だったら、大事に思ってくれる家族、いるじゃないか」
そう言われて涙の量が増す。
そして、田端さんは大きな手であたしの頭を撫でた。
ワシャワシャと。
「い、痛いです」
「ははっ!ゴメンな、怖い思いさせて」
そう言いながらあたしのワイシャツに手を伸ばして半分以上開いたボタンを閉め始めた。
「ギャッ!自分でやります!!」
「黙ってろ」
あたしは顔を赤くしながら田端さんの言うとおりにした。
その時、準備室のドアが勢いよく開いた。