澪ちゃん恋をする
「ヘンタイ。慰めに来てやったんじゃない」
そう言いながら葉月は自分の腰に手を当てた。
「てか、今授業中だぞ?」
「1年3組の葉月さんは、腹痛のため保健室で休んでます」
「あらあら、それはお大事に」
そんなプチコントをしたあと、俺はフェンスの方に向かった。
そしてフェンスに手をかけて遠くを見つめた。
俺んち、あの辺だなとか思って。
「…澪、高岡先輩と付き合ったんだってね…」
葉月が隣に来てそう言った。
その言葉に胸がズキンと痛んだ。
「…みたいだな…」
俺は人事のように答えた。
頭では分かってんだ。
でもまだ気持ちが整理されていない。
「…諦めるの?」
葉月が俺を見ながら言った。
諦める?
そんなの…
「諦める…しかないだろ。俺は澪が幸せになってくれればそれでいいんだ」
そう、澪が幸せならそれで…。
「あたしは…」
葉月が隣で苦しそうに言った。