澪ちゃん恋をする
「別にいいじゃん。どうせ練習だし」
そう言ってショルダーバッグを肩にかけたあたしに、玲次はなが~いため息を吐いた。
「まぁ、いいや。寒いかもしれないから、羽織るもの持ってきたほうがいいぞ」
そう言って下に下りて行った。
なんかあたし悪いことでも言ったかな?
カーディガンを持って急いで玲次を追いかけた。
「あら?2人でデート?」
階段から降りるとちょうどおばさんがいた。
そしてニヤニヤしながら聞いてきた。
「ち、違うよ!おばさん!!」
あたしは首を横に振って否定した。
「澪のいつか訪れる初デートの練習ってことで行ってくる。夕飯はいらない」
あたしの横で玲次はそう言うと、さっさと玄関の方に行ってしまった。
「ちょっと待ってよ~!」
そう言って玲次を追いかけた。
おばさんは玄関まで送りに来てくれた。
「気をつけて行くのよ?あまり遅くならないように」
玲次をチラッと見てクスクス笑っていた。
そんなおばさんを玲次はギロっと睨んだ。
「うっせー。行くぞ」
そう言って、一人で外に出た。
「待って!じゃあいってきまーす」
あたしもそう言って家を出た。