澪ちゃん恋をする


「別にいいじゃん。どうせ練習だし」



そう言ってショルダーバッグを肩にかけたあたしに、玲次はなが~いため息を吐いた。



「まぁ、いいや。寒いかもしれないから、羽織るもの持ってきたほうがいいぞ」



そう言って下に下りて行った。

なんかあたし悪いことでも言ったかな?

カーディガンを持って急いで玲次を追いかけた。



「あら?2人でデート?」



階段から降りるとちょうどおばさんがいた。

そしてニヤニヤしながら聞いてきた。



「ち、違うよ!おばさん!!」



あたしは首を横に振って否定した。



「澪のいつか訪れる初デートの練習ってことで行ってくる。夕飯はいらない」



あたしの横で玲次はそう言うと、さっさと玄関の方に行ってしまった。



「ちょっと待ってよ~!」



そう言って玲次を追いかけた。

おばさんは玄関まで送りに来てくれた。



「気をつけて行くのよ?あまり遅くならないように」



玲次をチラッと見てクスクス笑っていた。

そんなおばさんを玲次はギロっと睨んだ。



「うっせー。行くぞ」



そう言って、一人で外に出た。



「待って!じゃあいってきまーす」



あたしもそう言って家を出た。


< 211 / 417 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop