澪ちゃん恋をする


「傘…忘れちゃって」



あたしは外を見ながら言った。

すると先輩は自分のカバンの中から黒い折りたたみ傘を出した。



「これ、よかったら使って!」



そう言ってニコッと笑った。



「えっ!悪いですよ!先輩だって帰り困るじゃないですか!!」



あたしがそう言うと先輩は傘立ての方を指差した。



「俺はそこの傘立てに1本置いてあるんだよ。だから大丈夫」



そう言ってあたしに折りたたみ傘を押し付けてきた。



「あ、ありがとうございます」



お礼を言って傘を受け取った。



「いつものお菓子のお礼!じゃあ気をつけて帰ってね!」



そう言って先輩は走って行った。

あたしはそんな先輩が見えなくなるまでその後姿を見ていた。

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