澪ちゃん恋をする
「…いってぇ~」
俺は水道で口をゆすいでいた。
こんなとこ殴りやがって。
顧問に見つかったらどうするつもりだ。
そう思って俺は殴られたとこを冷やしていた。
「…あ、あの…」
後ろから声がした。
振り返ると同い年くらいの女の子が立っていた。
「なに?」
俺はあまり機嫌がよくなかったからちょっと冷たく言った…と思う。
そしたらその子は黙って絆創膏を差し出してきた。
そして俺に渡すと走って行ってしまった。
「ちょ、ちょっと!」
呼び止めようとしたが、その女の子はもう見えなかった。
その絆創膏のおかげで顧問には転んだと言ってごまかせた。
あれからたまに試合で見かけたが、ちょっと目が会うとすぐに逃げてしまった。
俺はその子が気になってしかたなかった。
その頃から圭とはライバル同士、お互い違う中学でサッカーをやっていた。
ある時、圭が『一緒に立花でサッカーをやろう』と誘ってきた。
もともと俺も立花に行きたかったからすんなりOKした。
でも圭は金髪だったし、こんなんで立花なんか受かるのか心配だったけれど、なんとか2人とも立花に受かって、サッカー部に入った。
そして1年経って、俺たちは高校2年になった。
ある日の部活帰り、圭につれられて料理部に来た。
ホントにコイツは甘いものに目がないよな。
そう思いながらも俺も意外と甘党なんだ。