澪ちゃん恋をする
ボンッキュッボン 【澪side】
し、失敗したぁ~。
「ほら、早く行こう!」
更衣室の入り口から葉月があたしを呼ぶ。
「あ、あたしやっぱり行きたくない…」
そう言って葉月に背を向けた。
だだだだって!
こんなスタイル、先輩に見せられない!!
あたしは自分の残念な体を見た。
そしてチラッと隣にいる葉月を見た。
ややややっぱり無理っっ!!
葉月は背も高いし、ボンッキュッボンだし!!!
「なに言ってんの!?せっかくこのために水着買ったんじゃない!」
確かにこの日ために葉月と水着を買いに行った。
葉月は何を着ても似合う。
ホントにうらやましい。
水着を買うのに悩んだ挙句、葉月は黒と白のボーダービキニ。
あたしは赤地に白い小さめのドットが入ったビキニ。
フリルが付いていて、あたしの残念な胸元をカバーしてくれている。
「先輩達待ってるよ!」
そう言って葉月はぐいぐいとあたしの背中を押す。
葉月の力にあたしは抵抗するのを諦めて、先輩との待ち合わせの場所に向かった。
「おーい!こっちだよ~」
春斗先輩が手を振っている。
「おまたせしましたー!」
そう言って葉月はあたしの背中をポーンと押した。
いや、ドーンとか?
「あわわわぁっ!!!」
あたしは勢いがついたまま目の前にいた人にぶつかった。