澪ちゃん恋をする
「なんだ?もしかしてもう誰かに取られてしまったか?」
じいちゃんが聞いてくるけど、俺は仰向けになったまま目をつぶった。
「そこは…察してくれよ…」
そう、澪は今は高岡のもの。
俺は澪に手を出せないんだ。
こんなに近くにいるのに。
毎日一緒にいるのに。
しばらく沈黙が続いたが、じいちゃんが口を開いた。
「…玲次」
「ん?」
目を開けると、じいちゃんは俺をじっと見ていた。
今まで見たことのないような真剣な目で。
「ばあさんもな、昔は他のヤツと付き合ってた」
「え?」
いきなりのじいちゃんの話に俺は起き上がった。
するとじいちゃんは俺から目線をはずして、懐かしいと言うように目を細めた。
「1度は諦めたんじゃ。でもやっぱりどうしても諦め切れなかった」
じいちゃんの話が、今の俺を見ているようだった。