澪ちゃん恋をする
「へへ、じゃあ羊数えてよ」
「羊って、ホントにそんなんで寝れるのかよ」
玲次はバカにしたようにそう言った。
いやいや、それがだね玲次くん。
寝れるのですよ。
「いつも寝れないときは数えてるよ。そうすると意外と寝れるんだよ」
そう言うと玲次は少し眉を歪めた。
「…今も寝れないとき…あるのか?」
そう言った後に、しまったと思った。
中学に入ったときくらいから、玲次やおじさんおばさんに心配かけないように平気なフリをしてきた。
今でもよく夜中におじさんとおばさんが見に来てくれているのも知っている。
その時はとっさに寝たフリをする。
「ん~たまーにね。本当にたまーに。いろいろ…思い出して…」
そう言ってあたしは布団をギュッと握った。
できればあのことは思い出したくない。
でも今でも夢に出てきたりするんだ。