澪ちゃん恋をする


「あの…あたしこの前先輩が…女の人といるとこ見ちゃって…」



そこまで言うと先輩は少し眉を歪めた。

その仕草にあたしは不安を感じた。



「え?どこで?」



「…街…と、昨日学校の前で…」



そう言うと先輩は少し考えて言った。



「あぁ、あの時か」



そう言われてやっぱり先輩だったんだと思った。

心の中でしかしたら先輩じゃなかったのかもと思っていたからショックだった。

少し泣きそうになって、あたしは昨日玲次に握られた手を思い出した。

そしてその手をギュっと握って勇気を出して聞いてみた。



「あ、あの人って誰なんですか?」



先輩の目を見てそう言うと先輩はきょとんとした。



「あれ?澪ちゃんあの人知らない?」



え?と思う。

だってあんなキレイな人、あたしの知り合いにはいない。

そう思って首を横に振った。



「あ、そっか。澪ちゃんはサキと入れ違いで入ってきたもんね」



「…サキ…」



先輩がそう言ったのを聞いて胸がズキンと痛んだ。

名前を呼び合うほどの仲なんだ…。

あたしは唇を噛んで少し俯いた。

だってこのままいたら涙が出そうだったから。

そして先輩は口を開いた。
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