澪ちゃん恋をする
学校に着いた。
今日は下駄箱には何も入っていなかった。
ちょっとホッとして教室に行く途中、珍しく吉井先輩に会った。
「あ、佐伯さんちょっといい?」
「おはようございます。大丈夫ですよ」
そう言ってあたしは玲次に先に教室に行っててと促した。
玲次は睨むように吉井先輩を見ていたのが少し気になった。
「どうしたの?」
玲次に聞くと、なんでもないと言って教室に向かった。
「ごめんなさいね、彼何か怒ってなかった?」
ふふふと吉井先輩が笑った。
「いえ、アイツはいつもあんな感じですから」
あたしがそう言うと吉井先輩は一瞬怖い顔をした。
「吉井…先輩?」
吉井先輩の名前を呼んだら先輩はハッとしたようにいつもと同じ笑顔に戻った。
「あ、そうそう。今日部活休みだけどね、準備室に明日の部活で使うレシピが置いてあ
るの。私今日ちょっと用事で行けないから、佐伯さんが代わりにコピーしておいてほしいんだけど、お願いしていいかしら?」
吉井先輩はあたしに言った。
「いいですよ。いつものようにコピーしてそこにおいて置けばいいですね」
あたしは断る理由もなかったからそう言って承諾した。
「お願いします。あ、あと佐伯さん“一人で”行ってね。よろしく」
そう言って先輩は2年の階に上っていった。
“一人で”って言うのがちょっと引っかかったが、予鈴のチャイムが鳴ったので急いで教室に向かった。