澪ちゃん恋をする


「あたしは…生まれてきちゃいけない人間だったんだ…」



澪はフェンスに登ろうとして足をかけた。

そして一歩、一歩と登り始めた。

澪のやろうとしていることは小2の俺でも察しがついた。

俺はそんな澪を見ながら呟いた。



「…困る」



俺がそう言ったのが聞こえたみたいで、澪は足を止めた。



「お前が死んだら、俺が悲しむ…」



向こうを向いている澪の肩が震えている。

きっと泣いてるんだろう。

本当に泣き虫だなぁ。

俺はゆっくりと、澪に近づいた。



「お前が生まれてこなかったら俺が困る…」



澪がゆっくりと振り向いた。



「だから…生きて…」



そう言って俺は澪に手を伸ばした。

澪もそっと俺に手を伸ばした。

そしてその手に触れたと同時に、ぐいっと澪の腕を引き寄せて抱きしめた。



『俺が、一生澪を守るから…』


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