澪ちゃん恋をする
「澪ちゃんがなかなか自分の気持ちに気づかないから、きっと神様が俺のサッカーボールを澪ちゃんに当てて俺を彼氏にしたんだよ。」
にいっと笑って先輩はあたしを見つめた。
「で、澪ちゃんはやっと自分の気持ちに気づいた。これで俺の役目は終わり。」
あたしの目からポロリと涙がこぼれた。
泣きたくなんて…ないのに。
先輩はあたしの前に来てしゃがんだ。
「泣かないで。俺は澪ちゃんが過去を乗り越えて、幸せになってくれればそれだけで嬉しい。」
「先輩…知ってるの?」
あたしは自分の過去の話は先輩にしていない。
なんで知ってるんだろう。
「葉月ちゃんから聞いた。その話し聞いたらさ、やっぱ俺じゃダメなんだって思った。」
先輩の目が少し赤くて泣いているように見えた。
そんな顔させてるのは、あたしだよね。
「自分で気づいてないと思うけど、澪ちゃんが須藤と一緒にいるとき顔ってすっごい安心しているように見えるんだよ」
先輩にそう言われて考えた。
確かに、玲次と一緒にいるときは安心する。
なんでも話せる。
そして思った。
あぁ、あたし…。
玲次のこと……。