澪ちゃん恋をする
「さぁ、須藤のとこ行っておいで。そして気持ち伝えておいで」
そう言って立ち上がった。
先輩は本当に優しい。優しすぎるよ。
「先輩…」
あたしの目から涙が次々と落ちる。
「澪ちゃん泣きすぎ。可愛い顔が台無しだよ」
そう言ってあたしの涙を自分の手でぬぐった。
その優しさにさらに涙の量が増した。
「でも、あたし、ホントに先輩が…」
好きなの。
先輩も大切なの。
そう言おうとすると先輩があたしの口に人差し指を当てた。
「はい、そこまで。それ以上言ったら俺…澪ちゃん離せなくなっちゃう…」
そう言って切なそうな顔を向けた。
あぁ、先輩の中でもう答えは決まってるんだ。
あたしは自分の腕で涙をぬぐった。
そして先輩の目を見た。
「…先輩…ありがとう。今までたくさんたくさん、ありがとう」
そう言うと先輩はにぃっと笑った。
「こちらこそありがとう。須藤にいじめられたらいつでも相談して」
先輩は一度あたしの頭をくしゃっと撫でて後ろを向かせた。
「さぁ、いってらっしゃい」
そう言ってあたしの背中をポンと押した。
「行ってきます!」
振り返ってあたしもにぃっと笑った。
そして走り出した。
あの人のもとに…。