澪ちゃん恋をする
あの人のもとへ 【澪side】
あたしは走って教室まで戻ってきた。
けれど、もうほとんどの人が帰ってしまっていた。
「葉月っ!」
あたしはまだ教室にいた葉月を呼んだ。
「澪?」
走ってきて息が上がっているあたしを見て葉月は不思議そうな顔をした。
「はぁはぁ。れ、玲次はっ!!?」
葉月は慌ててるあたしを見て一度にやっと笑った。
「今さっき出て行ったわよ。生徒会室か…屋上にでもいるんじゃない?」
屋上…きっとそこにいる。
あたしはそう思った。
なぜだかわからないけれど。
「ありがとっ!」
そして屋上に向かおうとしたら葉月に引き止められた。
「澪っ!」
振り向くと葉月は微笑んだ。
「ちゃんと、気持ち伝えて来るんだよ」
そう言われてあたしは照れた。
なんだ、葉月も気づいてたんだ。
「うんっ!」
元気よく返事をして屋上に向かった。