夕凪に映える月
煮え切らない態度
私だけが満足してる
私のせいで風香さんは嫌な想いをしている。
それは私が気づいていないフリをしていた真実で、気づこうとしていなかった真実でもある。
――こっちゃんは厳しい。
でも、だからこそ信用できる。
私の目の前でお冷をグイッと喉に流し込んで、またカレーをガツガツ食べ始める、こっちゃん。
「こっちゃん。」
「あぁん??」
「あの……ありがとね。
言いにくいこと言ってくれて。」
こっちゃんだから言ってくれたんだ。
こんな耳の痛いコト。
そう思うと乱暴な中に見え隠れする優しさが嬉しかった。
そう思って
素直に感謝の言葉を口にすると
「おう。
こういう耳の痛いコトいうヤツは貴重なんだからな。ありがたく思うがいい。」
こっちゃんはゲラゲラ笑いながら、私のオデコをペシンと叩く。
「いたいっ!」
女の子を叩くにしては強すぎる、その力に非難の声を上げると
「ばーか。
凪紗だから叩いたんだよ。」
「…え??」
「凪紗は親友だからな。遠慮は無用ってことだよ。」
そう言って、こっちゃんはクスクス笑う。