夕凪に映える月


「頑張れよ、凪紗。
見てるだけの恋なんてつらいし、つまんねぇよ。」


「…うん。」


「告白して初めてはじまる恋もあると思うぞ??
そろそろ覚悟の一歩を踏み出してみろ。」



覚悟の一歩……か。
そうだよね。


ずっとこの関係を続けていけるわけじゃないんだもん。今はお兄ちゃんのコトもあって、あっちゃんは私と仲良くしてくれてるけど……ずっとこのままいられるわけじゃないんだもんね。


でも……やっぱり今すぐ告白は難しい。


せめて、卒業するまでは。
あっちゃんとお兄ちゃん、それに風香さんが卒業するまでは、少しだけ我慢しよう。



それまではワガママかもしれないけど、この関係を続けても……いいよね??



ワイワイガヤガヤと騒がしい、学食の中。

こっちゃんと二人でカレーを食べながら



「こっちゃん。
私、一歩踏み出すよ。」


「そっか。」


「うん。
卒業式の日に、あっちゃんに告白する。」



決意を持ってそう宣言すると



「…おそっ!!」



こっちゃんは呆れたように笑ったのだった。



そして周りを見渡すと私の耳元でこっそりこっそり呟いた。



「実は……俺も好きなヤツできたんだ。
今度は俺の相談にものってくれよな??」




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