夕凪に映える月
え??
こっちゃん??
なんでここでこっちゃんの名前が出てくるの??
意味がわからなくてキョトンとしてると
「虎徹はイイヤツだもんな。
うん、オススメなオトコだよ。」
あっちゃんはウンウンと満足そうに頷き始める。
「うん、そうだね。
こっちゃんはとってもいい人だよ。
口は悪いけど優しい…いい人だよね。」
相談にも乗ってくれるし、時には怒ってくれるし、励ましてもくれる、いい友人だ。
あっちゃんが何が言いたいのかよくわからないけど、こっちゃんはとてもいい人だし、魅力的なオトコの子だとも思う。
だから素直にウンと頷くと
「・・・!!!」
あっちゃんは私の答えに、足を止めて息を飲む。
1秒?2秒??
数十秒の沈黙が私たち二人を押し包む。
あっちゃんの出すその空気感の意味が分からなくて。
でもただ事じゃない彼の空気に、何かを間違えたことだけはハッキリとわかって。
でもどうすることもできなくて、カレが次に何を言うのかが怖くて、ただただ立ちすくんでいると、あっちゃんはハァと大きくため息を吐いてこう言った。
「やっぱり……虎徹にホレてるんだな。」