夕凪に映える月


久しぶりのあっちゃん。


告白するとか、彼が何を言うつもりなのか、とか、そんなことはどうでもよくて

“あっちゃんに会える”

って思うだけで幸せになれる私は、ひどく簡単な女だと心底思う。


あっちゃんから連絡が来た後、ソワソワしてしまって授業どころじゃない、私。



早く授業が終わればいいのに。



そればかりを考えていた。


──早くあっちゃんに会いたい。


頭の中にあるのはそれだけだった。




「では、これで授業を終わります。」


やっとの事で授業の終了を告げるチャイムが鳴り響くと私は脱兎のごとく教室を飛び出した。


幸いなことにさっきの授業は、今日の最後の授業で、後はホームルームを残すのみ。


「うまいこと俺が先生には言ってやるから、お前は急いで部室に行け。」



こっちゃんがそう言ってくれたから…私は安心して教室を飛び出すことができたんだ。


人でごった返す廊下をすり抜けて、駐輪場へと急ぐ。


先生にみつからないようにコソコソと裏門から出て行くと、私は勢いよく自転車を漕ぎ出した。




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