夕凪に映える月
*茜色に染まる恋
◇ ◇ ◇ ◇ ◇
私、あっちゃん
風香さん、お兄ちゃん
四人の関係は相変わらずと言えば相変わらずで、家族みたいな兄弟みたいな、なんとも言えない不思議な関係の4人。
形だけ見れば私はいい妹。
だけど本当は…風香さんに嫉妬しながら、ジメジメとあっちゃんに恋をしているイヤな女。
ズルくて弱い私は本当の気持ちにフタをして、いい妹を演じるコトが気づけばお手の物になっていた。
だから…かな?
あっちゃんは私の気持ちに…1ミリだって気付いていない。
いつも
「ナギ!帰ろうぜ!!」
お日様みたいな顔で笑いかけて、妹としての私を大事にしてくれる。
それでいい。
これでいい。
彼の笑顔を特等席で見られるのなら、妹だって辛くない。むしろ…それが一番幸せな恋の形なんだ。
そう私は決めつけていた。
そんなある日。
私はお兄ちゃんからあっちゃんが県内の大学を受けると耳にした。
なんだかんだでお勉強のできる、あっちゃん。ヨット部での成績も悪くないからきっとスポーツ推薦だってたくさんくるだろうに…。
風香さんとお兄ちゃんは県外の大学を受験して、あっちゃんは地元の大学を受験する。
なんで…あっちゃんは県外の大学を受けないんだろう。
「ねえ、あっちゃん。」
「なにー?ナギ。」
「なんであっちゃんは県外の大学受けないの?」
何の気なしに。
部活終わりの海岸でボートを片づけながら尋ねると、あっちゃんは夕闇に染まる海を見ながら
「そーだなー。理由なんてないんだけど…俺、この海が好きだから。」
「…え??」
「この時間のこの海が好きなんだよな、俺。」
そう言って、頭をポリポリ掻きながら。彼は恥ずかしそうにテヘヘと笑った。
私、あっちゃん
風香さん、お兄ちゃん
四人の関係は相変わらずと言えば相変わらずで、家族みたいな兄弟みたいな、なんとも言えない不思議な関係の4人。
形だけ見れば私はいい妹。
だけど本当は…風香さんに嫉妬しながら、ジメジメとあっちゃんに恋をしているイヤな女。
ズルくて弱い私は本当の気持ちにフタをして、いい妹を演じるコトが気づけばお手の物になっていた。
だから…かな?
あっちゃんは私の気持ちに…1ミリだって気付いていない。
いつも
「ナギ!帰ろうぜ!!」
お日様みたいな顔で笑いかけて、妹としての私を大事にしてくれる。
それでいい。
これでいい。
彼の笑顔を特等席で見られるのなら、妹だって辛くない。むしろ…それが一番幸せな恋の形なんだ。
そう私は決めつけていた。
そんなある日。
私はお兄ちゃんからあっちゃんが県内の大学を受けると耳にした。
なんだかんだでお勉強のできる、あっちゃん。ヨット部での成績も悪くないからきっとスポーツ推薦だってたくさんくるだろうに…。
風香さんとお兄ちゃんは県外の大学を受験して、あっちゃんは地元の大学を受験する。
なんで…あっちゃんは県外の大学を受けないんだろう。
「ねえ、あっちゃん。」
「なにー?ナギ。」
「なんであっちゃんは県外の大学受けないの?」
何の気なしに。
部活終わりの海岸でボートを片づけながら尋ねると、あっちゃんは夕闇に染まる海を見ながら
「そーだなー。理由なんてないんだけど…俺、この海が好きだから。」
「…え??」
「この時間のこの海が好きなんだよな、俺。」
そう言って、頭をポリポリ掻きながら。彼は恥ずかしそうにテヘヘと笑った。