夕凪に映える月
*うつろう心、海のさざめき
◇ ◇ ◇ ◇
あっちゃんと私
付き合うでも、友達でもない関係が、あの日から始まった。
あの日から何が変わったのかときかれると、何も変わってはいなくて、キスもしてないし、手だって繋いでない。
2人きりで会うことすらしていなくて、メールだって必要以上にしないし、電話もしない。私は完全に、あっちゃんから待ちぼうけを食らう状態に陥っていた。
「ズルイな。アツ先輩はズルすぎる。」
いつものようにこっちゃんと学食で恋愛座談会をしていると、こっちゃんは呆れたように、こう言い放った。
「アツ先輩のこと、見損なったわ。」と。
忌々しそうに呟くこっちゃんを見ながら、これが普通の反応なんだろう、と思った。
あっちゃんは風香さんという彼女がいながら違うオンナをキープしている状態なわけで、普通に考えたら“卑怯な男”に分類されるんだと思う。
だけど……
私は不思議と、それでいい、と思えたんだ。
あっちゃんと繋がっていられるのなら、それはそれで悪くない。
だって気持ちを確認しあっただけで、やましいことなんて一つもしてないんだもの。
誰にも気づかれないようにあっちゃんに片思いしてた時と今と、何が違うのかと聞かれれば、きっと何も変わらない。
想うだけなら、浮気じゃない。
そうでしょう??
恥ずかしげもなく、そんな考えに想いを馳せる自分に自分で驚く。
ひどいよね??
卑怯なのはお互い様だ。
あっちゃんも私もサイテーだ。
風香さんの受験が何事もなく、終わることをじっと待つ自分。
そんな自分は何よりも醜く思えた。
あっちゃんと私
付き合うでも、友達でもない関係が、あの日から始まった。
あの日から何が変わったのかときかれると、何も変わってはいなくて、キスもしてないし、手だって繋いでない。
2人きりで会うことすらしていなくて、メールだって必要以上にしないし、電話もしない。私は完全に、あっちゃんから待ちぼうけを食らう状態に陥っていた。
「ズルイな。アツ先輩はズルすぎる。」
いつものようにこっちゃんと学食で恋愛座談会をしていると、こっちゃんは呆れたように、こう言い放った。
「アツ先輩のこと、見損なったわ。」と。
忌々しそうに呟くこっちゃんを見ながら、これが普通の反応なんだろう、と思った。
あっちゃんは風香さんという彼女がいながら違うオンナをキープしている状態なわけで、普通に考えたら“卑怯な男”に分類されるんだと思う。
だけど……
私は不思議と、それでいい、と思えたんだ。
あっちゃんと繋がっていられるのなら、それはそれで悪くない。
だって気持ちを確認しあっただけで、やましいことなんて一つもしてないんだもの。
誰にも気づかれないようにあっちゃんに片思いしてた時と今と、何が違うのかと聞かれれば、きっと何も変わらない。
想うだけなら、浮気じゃない。
そうでしょう??
恥ずかしげもなく、そんな考えに想いを馳せる自分に自分で驚く。
ひどいよね??
卑怯なのはお互い様だ。
あっちゃんも私もサイテーだ。
風香さんの受験が何事もなく、終わることをじっと待つ自分。
そんな自分は何よりも醜く思えた。